日本人は他の国に比べて、ちょっとした症状にも薬を使うことが好きな国民とされていますが、その一方で副作用と聞くと拒否反応を示す傾向にあります。

しかし、天然由来のもであれ人工的に合成されたものであれ、薬は化学物質です。それを人体に投与すれば、いろいろな作用が現れます。治療に利用できる作用が「主作用」、それ以外の作用を「副作用」といい、両者は表裏一体の関係にあります。同じ薬でも、治療目的によって主作用と副作用が違うこともあります。

一般に、薬は使用する量に比例して人体への作用も強くな ります。期待される作用が現れる最少の量を「最少有効量」、最大の作用が現れる量を「最大有効量」といいます。製薬企業では開発段階でこれらを慎重に調べており、市販後は詳しく医師に伝達される。医師はそうした情報をもとに、それぞれの患者の年齢、体重、性別、症状などと 照らし合わせて処方します。

薬は少ないほうがいいというわけではないし、多く飲めば早く効くわけでもありません。薬物治療では、医師の的確な診断・投薬と、患者の服薬遵守がかみ合ってはじめて、効果が発揮されるのです。

薬とは、どのような病気・病状に、どのような用法・用量で、どのような注意をして使えばいいかという情報があってはじめて、価値を持ちます。そのため、製品に添付文書をつけることが義務づけられており、「医療用医薬品」は特に、細かな記載項目や記載順序まで決められています。

また、そうした情報をもとに医師が患者を診断し、治療経過を観察しながら適正に薬を処方することによって、副作用を避けながら最大限の主作用が発揮されるのです。

副作用をむやみに恐れるのではなく、薬を正しく使うためには有効性や安全性に関する情報がいかに重要であるかとういことをよく理解しておく必要があります。

厚労省のデータによると、日本の薬剤費比率(医療費に占める薬剤費の割合)は、2014年には約22%となっており、30%台に差し掛かっていた20年前に比べれば随分と下がりました。日本では、公定価格である基準薬価と実際に病院などが購入する価格に差があり、そのため薬の使いすぎや高いクスリへのシフトが起きやすいといわれています。

低成長経済のもと、医療費の伸びを抑えるためにも無駄な薬の使用を排除しなければならないのは当然のことです。しかし、欧米と日本では薬剤費比率のデータの取得方法が異なります。例えば、分母となる医療費について、日本のデータでは予防的医療や歯科診療、薬局調剤などは除外されています。

分子の薬剤費についても、日本のデータは高齢者が比較的多い母集団を選択しています。また、医療費全体が右肩上がりで増加しているなかにあって、日本の薬剤費比率は下がってきており、国際的に見ても決して高いとはいえない水準になってきました。

現代の医療は薬物治療が主流であり、既存薬よりも効果が高いが薬が開発されれば、入院せずに治ったり再発する割合が低くなることで、患者や保険組合などに大きなメリットがもたらされます。薬の使いすぎで医療費が高騰している、との批判は必ずしもあたらないという意見も多く聞かれます。

薬といえば、薬局の店頭に並んでいる胃腸薬や総合感冒薬、ビタミン剤、ドリンク剤を連想する方が多いと思います。これらは「一般用医薬品」と呼ばれ、薬局で自由に買うことができます。

その一方、医師の処方がないと使用できない薬もたくさんあります。これを「医療用医薬品」といい、「一般用医薬品」と区別されています。「医療用医薬品」は一般向けの広告が禁止されていることもあり、よく名前を聞く薬は「一般用医薬品」のほうが多くなっています。

「医療用医薬品」には、国内売上高が100億円を超えるものが120品目以上ある。これに対して、一般用医薬品市場におけるカゼ関連薬は全体で約1500億円、胃腸薬も330億円程度にすぎません。普段のイメージで製薬企業をとらえていると、本当の姿を見誤ることになりかねません。

薬は人間の体に直接、作用するものだけに、そもそも国の承認がないと製造や販売ができません。「一般用医薬品」は、薬理作用が比較的穏やかであったり、長年の使用で安全性が確認されているなど、一般消費者が自分の症状に合わせて薬局で自由に購入し、使用することができます。

最近では、胃腸薬のH2ブロッカーや解熱鎮痛薬のロキソニンなど医療用医薬品の成分を転用した「スイッチOTC」と呼ばれるタイプも増えています。

一方、「医療用医薬品」は、病院で処方されたり医師の処方せんを持っていって薬局で買うもので、自由に手に入れることはできません。「医療用医薬品」は薬理作用が強いものが多いし、市販されてまだ期間がたっていないなどの点から、医師の指示のもとで使用される必要があるからです。「医療用医薬品」は一般向けの広告も禁止されています。

「医療用医薬品」や日本で未承認の薬も、海外から個人輸入することは可能だが、使用上の注意など服用にあたっての知識がないと重大な副作用が発生することもありますし、偽薬が販売されていることも少なくありません。「一般用医薬品」と「医療用医薬品」は、法律上の扱いもその使われ方も違うことをよく理解しておく必要があります。

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